魔法の鏡

魔法の鏡を欲しいと思った 

「世界で一番僕を愛しているのは誰ですか？」 
「世界で一番僕が愛しているのは誰ですか？」 

魔法の鏡を欲しいと思った 

「あの人が一番好きなのは誰ですか？」 
「あの人を一番好きなのは誰ですか？」 


だけど 
世界中の何処を探したって 
魔法の鏡なんか無くて 

世界中の何処を探したって 
答えなんか無くて 

だから僕は 
この森から出る事にしたんだ 

自分の脚で歩いて 
自分の目で見て 
自分の手で触って 

自分で答えを出そうと決めたんだ 

そりゃあ初めての世界は怖いよ 
暗くて怖くて不安で 
眠れない夜だってある 
でも 
この広い世界のどこかに 
君がいるから 

僕の歩いていく道が 
君に続いているから 

僕はすべてを捨てて 
森を出たんだ 


世界の全てを敵に回したって 
千のドラゴンと戦う日々だって構わない 

この景色の先に 
君がいるから 
この荊の先に 
君がいるから 

僕はすべてを捨てて 
歩き出したんだ 



魔法の鏡を欲しいと思った 

「あの人はいま笑っていますか？」 
「ぼくはいま笑っていますか？」