2017年9月2日土曜日

鳥取戦隊ナントカシナイヤー  其の2

『本当にこの会社は大丈夫だろうか?』
カイが心底そう思ったのは、未経験でしかも初出勤のその日に自分が惑星侵略のチームリーダーに任命された時だった。

『本当にこの会社は大丈夫だろうか?』


ー  楽天家でご都合主義の面倒くさがりや  ー

そんなカイだったが、さすがにそこまでのお気楽ものではなかった。
しかし、無一文のカイには最初から選択権など無かった。

カイの赴任先は言わずもがな銀河系に浮かぶ辺鄙な田舎の惑星だった。

(そうでなければ物語が進まない)

辺境ではあったが、青く美しい星だった。


素人のカイには、その青く輝く美しい星の価値も侵略する意味も皆目見当がつかなかったが、ただ一つ『綺麗だ』と言う事は理解出来た。

『そんな陳腐な感想しか出て来ない自分に、果たして本当に侵略など出来るのだろうか?』
とは、思わなかった。
なぜならカイは、頭が悪かった。

だからこそ今ここにいるのだし、胡散臭い話にも飛びついてしまう。


それがカイの良い所でもある。

と、カイの母親は思っているのかも知れない・・・



赴任して3週間、カイの最初の仕事はどこから攻めるか決める事だった。

星の歴史も経済状況も勢力図も戦略的要因も何も知らず、カイは決断を迫られていた。

もとより素人なのだ。悩んでも仕方ない。


カイは支給された世界地図を広げ、眼を瞑って地図めがけてダーツを投げた。


星から受信したローカルネットワークにそんな映像を見て、自分もやってみたくなったのだ。

と言うより、他の方法が浮かばなかった。

ダーツは弧を描いて小さな島のギリギリのラインに刺さった。

地図には『TOTTORI』と書かれていた。

鳥取県(とっとりけん)は、日本の一つ。中国地方日本海側、いわゆる山陰地方の東側を占め、東は兵庫県、西は島根県、南は中国山地を挟んで岡山県広島県に隣接。西日本有数の豪雪地帯でもある。全国47都道府県中、面積は7番目に小さく、人口は最も少ない。また、の数も最も少ない。県庁所在地は県東部の鳥取市

支給された端末にはそう表示された。


悪く無い。

カイはそう思う事にした。
人口が少ないのは好都合だし、町が少ないのも楽そうに思えたからだ。
なにより、カニが美味そうだ。

カイはバカだった。


つづく







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