2020年7月17日金曜日

『サミー物語3』

最初に、
僕は産まれた時に左目のほとんどの視力を失くした。
そんな僕がカメラマンになるまでの物語。



僕の高校卒業を脅かしていたのは「日本史」だった。
僕はこの歴史というやつが苦手だった。
「どうして合ってるか間違ってるか分からないものを暗記しなくちゃいけないの?」の問いに答えを見つけられないまま3年が過ぎようとしていた。

つまりもうすぐ卒業だ。

最後の期末テストで赤点を取り(末広がりなラッキーナンバーだったから、いまだに点数を覚えている。8点だ。笑)
そして運悪く、追試の日は見たかったテレビ番組と重なったのだ。
仕方がないので、テレビを優先した。

....


期末テストの日本史で8点を取り、追試をすっぽかした僕が無事に卒業できたのはまさに奇跡だった。
まぁ、僕なりにちょっとした保険はかけてたのだ。

キーワードは【留学】だ。

僕の通った高校は長野の田舎で、33年前はそれこそ外国人が珍しい時代だった。
そんな環境なものだから「留学」と言うワードは「異世界召喚」と同じくらいレアで衝撃的なワードだった。

担任からの「進路はどうするんだ?」の質問に、僕は必殺!の呪文を唱える。
「カナダに留学します」
サミーは【留学】を使った!テレテレテレ〜ン♬の効果音が頭にこだまする。

おそらく創立始まって以来の「留学」だったのではないだろうか。知らんが。
兎にも角にも、そんな訳で僕は無事卒業出来たのだった。

ちなみに英語は日本史に次ぐ不得意な教科だったので、友人からは留学なんて自殺行為だと笑われた。
なので出発までの間、とりあえず公民館で英語を習う事にした。
毎週火曜日19時~20時、主婦に混じって楽しい英語クラブの時間だった。

が、そこで英語力がついたとはどうしても思えない


つづく



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